8月6日~16日に六本木の国立新美術館で開催予定でした「現代書作家協会展」ですが、コロナウィルス対策による活動自粛のため、こちらも残念ながら開催中止となってしまいました…。
昨年度は、中学生部門の最高賞である日本書写技能検定協会賞をはじめ、特選2名・準特選2名を選んでいただきました。当教室の中学生さんにとっては、年間を通してのお稽古の成果の集大成、発表の場となる大切な展覧会として位置付けて参りました。昨年のGW明けから直後から「もう来年の臨書展は始まっている!」という思いで各自が取り組む課題選びをし、月に1回の研究課題としてコツコツと取り組み積み上げていった成果を、展覧会の形でご覧いただけないことは本当に残念です…。
ひとつの作品として作り上げる制作意欲の側面には、「今年こそ上位賞をとりたい!」「昨年より上の賞を欲しい!」そんな色々な思いも詰まっていました。4月にお教室を休室する中でも、臨書展に向けて最後の仕上げをしようとする中で届いた展覧会開催中止の連絡…それでも最後まで仕上げてくれた中学生の皆さんの精神力に心からの敬意を表したいと思います。
ホームページ上で作品を公開させていただくにあたり、臨書展ではいつも大変お世話になっております洪先生から、1点1点に温かいコメントをいただきました。いつも応援してくださる洪先生に感謝申し上げながら、来年度に向けて新しい一歩が踏み出せるように精進して参りたいと思います。
<中学二年生さんの作品>
洪先生より
キリッとした九成宮の特徴が上手く表現できた作品です。
特に伸びやかな右払いと浮鳶(はねあげ)が、作品の爽やかさを一層際立たせています。 二行目の下のスペースが狭いときは、落款は作品の左の余白に入れてもかまいませんよ。
洪先生より
九成宮の特徴をよく捉えていて、用筆、配字、結体(点画の組み立て・ 字形のまとめ方)、余白の取り方が絶妙で、全体の緊密感が優れた作品です。
三行書きの作品のまとめ方の模範にしたいですね。署名をやや右に寄せて左に押印すると、下部に余白ができて、作品のクオリティーが更に高まりますよ。
洪先生より
字粒はやや小さめですが、その分、明るさのある優しい雰囲気の九成宮に仕上がっていて、好感が持てます。起筆の鋭さ、強靭な線質が表現できるようになると、さらに一歩、九成宮の整斎美に近づけるでしょう。
<中学三年生さんの作品>
洪先生より
孔子廟堂碑の柔らかな雰囲気がよく出ていて、すっきりとまとめた上品な作品です。筆遣いよく、線もしっかり書けています。 間架(点画の間隔)をやや締めて書くと、虞世南の特徴でもある右方向への広がりが更に強調できますよ。
洪先生より
やや大きめでおおらかで堂々とした作品です。基本用筆はできていますが、運筆が少し速すぎたかもしれません。心を落ち着けて、ゆったりどっしり運筆するようにすると、虞世南の書き方にもっと近づけますよ。
洪先生より
画数の多い字がたくさん出てくる箇所を上手くまとめた明るい作品です。
右払いの伸びやかさも上手く表現できています。文字の大きさと中心を揃えることに気を付けて臨書すると、孔子廟堂碑の均整美が表現できるようになりますよ。
洪先生より
集字聖教序のアンバランスな字形の特徴をよく掴み、線も伸びやかで、余白の「白」が作品の気品を醸し出しています。全体的に線質のメリハリが加われば、立体感が更に増して、作品の格調が高くなりますよ。
こちらは昨年度の授賞式の様子です。(右端が洪先生)
洪石峰(ホンソクボン)先生は、現代書作家協会展の出品委嘱会員として数々の受賞歴をお持ちになっておられ、毎年の出品の際には、たくさんのご指導をいただいています。来年度は、また皆さんの素晴らしい作品と共に、国立新美術館でお会いできることを楽しみにお待ちくださっています。 気持ちを新たにがんばりましょう!
作品を書き上げてくださった皆さん、洪先生、本当にありがとうございました。